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最後の一枚を追え 3話

「こんばんは。西郷さんですか。あの記事を書いたのは私です」 野市は、あの記事は9年前の春に行った地域の特集で、自分が取材に行ったのだと言った。 「お父さんの最後の一枚というお話を聞いて、ぜひ見つけてさしあげたいと思ったのですが...
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最後の一枚を追え 2話

西郷は、植木鉢からその新聞をはがして持って帰った。 どうやら、地元の老人が集まるお茶会の様子の写真のようだ。父は会の参加者のようで、テーブルのお茶に片手を置き、笑顔で隣の老人と話しているところだった。 父の笑顔なんて、もう半世...
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最後の一枚を追え 1話

それは突然の知らせだった。 西郷はそのとき仕事中で、その電話を取り損ねていた。 留守電の「ピー」という発信音の後に入っていたメッセージで、西郷は父の死を知った。 もう何十年も、連絡さえとっていなかった。それでもショックを...
Tips

シンクライアント構成について

まさか「シンクライアント」という言葉がテレビのニュースで流れる日が来るとは思いませんでした。 さて「シンクライアント」とは、システム構成の一つの形を指す言葉です。 通常のパソコンの中にはデータを置いて置けるハードディスクが設置...
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シンクライアント冷蔵庫 エピローグ

合同冷蔵庫は、1日経って復旧した。 あの日の混乱ぶりはさほど大きく取り上げられることもなく、日々の地域ニュースの中に沈下していった。 平和を取り戻した男は妻と一緒に夕飯をとっていた。そのときテレビからニュースが流れてきた。ふと...
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シンクライアント冷蔵庫 4話

客たちはロープをなんのためらいもなく超え、カートに襲い掛かった。一気に人の密度が上がり、奇声が上がった。 体幹の弱い者は押しのけられて倒れたりした。客たちは敵意むき出しで、なぜか皆、前歯もむき出していた。 卵のカートは客たちの...
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シンクライアント冷蔵庫 3話

「TB-2950の在庫は破棄します」 TB-2950は合同冷蔵庫のナンバーだ。ニュースを読み上げる声がタイムオーバーを告げた。男はその場でがっくりと座り込んでしまった。 「あーあ、高かったのに……」 ふと、火にかけたカレ...
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シンクライアント冷蔵庫 2話

「昨日のカレー」 男がAIスピーカーにそう言うと、ディスプレイが「あと30分」と表示された。 「今日はずいぶん混んでるな。日曜の昼だからかな」 男は少し困惑したが、別に急ぐ用があるわけでもないので、乾物のスルメをかじるな...
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シンクライアント冷蔵庫 1話

男は、自宅の台所で冷蔵庫のドアを開けた。 冷蔵庫の中はがらんとしていて、何も入っていない。一番奥に50センチ四方程度の四角い小窓が付いていた。そしてこう言った。 「ビール一缶、あと冷や奴一丁、あとカルビを一人前ね」 そし...
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